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2017-08

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黄昏はいつも優しくて2 second scene40 - 2011.05.05 Thu

「どうした」
「え」
「耳まで紅い」
 篠塚の胸に背中をあずけた格好だ。恥ずかしさに背を丸めると、篠塚の手がするりと襟もとに入ってきた。とたんに肌が泡立つ。
「まだ熱が冷めていないんじゃないか」
 答えられなかった。篠塚が背後から羽交(はが)いじめするように抱きしめてきた。不意に唇が首筋をなぞってくる。胸をすべる指の感触がたまらない。瞬は吐息ににた声をあげた。
 浴衣のせいだ……。
 浴衣(ゆかた)とはいえ和服に違いない。和服というものは禁欲的な印象があるにもかかわらず、どこか淫靡(いんび)な春情を煽るものだ。
 篠塚が浴衣の襟をつかんできた。そのまま片肌を脱がされ胸が鼓動を打った。まるで処女の反応だと嘲笑する、もうひとりの自分がいる。洋服とちがって脱がされる感覚が如実につたわってくるのだ。いっそのこと帯を解き全裸にしてくれればいいのにと思う。耳元で篠塚が瞬の名を呼んできた。首をひねり唇をまかせる。触れるだけの弄(もてあそ)ぶような接吻。やわらかく滑らかな感触に、つい夢中になってしまう。
 襟にあった手がおりてきた。腰をとおりすぎ膝のあたりまできたかとおもうと裾(すそ)を割りはいってくる。
「あ……」
 またたく間に肌が汗をまといだした。身をよじらせ快感から意識をそらす。だが、すぐと意識は雲散してしまった。篠塚が「どうした、感じやすいな」と、冷めた声音で囁いてくる。心なしか悔しい気がして口を引きむすんだ。だがそれも一瞬のことだ。
「あ……篠塚さん」
 膨れあがった劣情が放たれ、瞬は小さく声をあげた。そのまま、ぐったりとして身を投げだすと、篠塚が自分のほうへと瞬を向きなおらせてきた。鎖骨に指をすべらせ、さらりとくちづけてくる。瞬は複雑な面持ちで篠塚の首もとに手をそえた。
 熱くない……。 


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黄昏はいつも優しくて2 second scene37 - 2011.05.05 Thu

「あっ……」
 指が腹をつたって触れてくる。しばらく忘れていた感覚だった。無防備なまま受けいれてしまった。このままでは、すぐにも達してしまう……。
「や……」
 こんな場所で冗談ではなかった。篠塚の腕をつかむが抵抗にすらならない。
「篠塚さん……お願いですから……」
 言葉だけだ。体は劣情に流され篠塚にもたらされる快感に素直に反応してしまっている。情けなかった。以前、篠塚がいった言葉を思いだした。
『おまえにしたって、セックス・バディが欲しいわけじゃないだろう』
 本当にそうなのだろうか。結局、自分が求めているのは篠塚の体だけなのではないのか……。
「こんな……やだ……」
 喘ぎながら消えいるような声をだす。篠塚が瞬の肩をひきよせ長いため息をもらした。あわせた肌から篠塚の鼓動が伝わってくる。瞬は篠塚の肩に頬をおしつけ目をとじた。こうして何をするでもなく抱きあっているのが好きだった。もっとも篠塚を独占していると感じられる瞬間だからだ。
「はじめてだ」
「………」
「嫉妬なんてしたのは」
「……嫉妬?」
 篠塚がばつが悪そうに苦笑し唇をかんだ。照れているのだろうか。篠塚がはじめて見せた初心(うぶ)な表情だった。
 あれ……。
 胸の鼓動が激しい。いくすじもの汗が頬をつたい湯船へと流れおちる。頭が朦朧(もうろう)としてきた。
「瞬?」
「熱い……」
「おい」


 脱衣所で熱をさまし、おぼつかない足どりで部屋に戻った。テレビ画面に見入っていた北沢が瞬の火照った顔をみて驚いたようだ。
「どうしたんです」
「湯あたりです」
 篠塚がぼそりと答える。瞬をベッドに腰掛けさせ冷蔵庫からミネラルウォーターをとりだしてくる。瞬が受けとると篠塚はバスルームへとむかった。すぐとドライヤーの音が響いてきた。
「篠塚先生と、仲直りしたんだね」


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黄昏はいつも優しくて2 second scene8 - 2011.05.05 Thu

 食事後、晴香を杉並の自宅まで送りとどけ、篠塚のマンションに戻ったのは十二時ごろだった。部屋にはいると、出る直前まで調理していた鶏のワイン蒸しの香りがこもっていた。瞬はキッチンまでいき、フライパンの中の鶏肉をのぞきこんだ。
「これ、朝食になりますね」
「朝から、これを食うのか」
「僕は平気ですから」
 篠塚の態度はかわらない。食事中、晴香がいった言葉に、一瞬、篠塚が顔色をかえたかのように見えたのだが、瞬の心配は杞憂におわりそうだ。
 レストランで篠塚が「徳川とは、もう長いんですか」と、相手の返答によって微妙に意味をもつ質問を晴香にした時だ。晴香が「ふられたんです、わたし」と、これもまた冗談とも本気ともとれる答えを返してきた。
「まだ、未練がありそうですね」
 篠塚が茶化したようにいうと、晴香が転がるような笑い声をあげた。
「はい。どうしても諦めきれないんです」
 この時、篠塚の表情が変わったのを瞬は見逃さなかった。
「疲れたな……」
 篠塚がネクタイをゆるめながら溜息をつく。
「ありがとうございました」
「ああ」



 その夜、篠塚は執拗に瞬を求めてきた。やはり、晴香の言葉になにかを感じとったのだろうか。瞬の反応を楽しむような、いつもの余裕のある抱き方ではない。満たされたくて満たされない。そんな焦りにも似た感情が強張った躰から伝わってくる。
「篠塚さん……」
「ん」
「ほんとうに……もう……」
 篠塚がぴたりと動きをとめてきた。浅い息で篠塚の背中に手のひらをはわす。冷たい……。
 今夜に限ったことではなかった。いつも瞬は呼吸を乱し汗が伝うほどであるのに、篠塚の肌は決して汗をまとうことはない。一方的なのだ。瞬が行為におよんでも篠塚はそのときばかりは感じているようだが、ほんの一時だけだ。篠塚からもたらされる快感に瞬が身をゆだねるというプロセスのみが行為そのもののように思えてくる。瞬の肌が徐々に熱を帯びてくるのに対し篠塚の肌は終わるほどに冷めてくる。篠塚ははたして満足したことがあるのだろうか。瞬と篠塚はセックスをしたことがない。ようするにペッティングどまりなのだ。一度だけ篠塚にそのそぶりを感じ取ったとき、瞬は渾身の力でそれを拒んだ。帰国してすぐの時だ。あの時も晴香と貴子の存在が引鉄(ひきがね)となっていた。
 先刻の晴香の手のやわらかさがよみがえってきた。男は女のかわりはできない。ふわりとした感触で包み込んでくる柔らかな抱擁と触れてくる肌の弾力。女性にしか満たされないものが確かにある。そして、篠塚が女性を求めたとき、この関係も終わる。篠塚をひきとめる術を瞬は知らない。一秒でも長く傍にいてくれと願うことしかできない消極的な恋だといえた。
 篠塚に覆いかぶさるようにして唇をもとめる。篠塚は拒まない。瞬が求めることにたいして篠塚が拒むことは決してない。ときおり、これは相手が瞬に限ったことではないのかもしれないと不安になることがある。相手が貴子であっても篠塚は拒まないのではないか……。
 気がつくと篠塚が寝息をたてていた。瞬はふたたび唇をかさねると、添うようにして篠塚の体を抱いた。


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黄昏はいつも優しくて scene75 ~Episode2・Haruka14~ - 2011.05.04 Wed

「篠塚さん……」
「これまで、とことん気をつかってきた。女みたいに抱いたら、おまえは簡単に壊れちまうからな」
「………」
「気をつかわれるのが、そんなに嫌か」
「そんな意味じゃ」
「どんな意味なんだ。望みどうりにしてやるから言ってみろ」
 バスローブを勢いよく剥(は)ぎ取られた。肌に触れてくる手が執拗(しつよう)で容赦がない。これまで、篠塚がいかに気をつかっていたのかがわかる。愛情の交感と欲情の交歓はちがう。瞬が篠塚とのセックスに求めるものと、男女のそれとは違うのだと知った。
「勝手にやっていいのか?」
「篠塚さん……まって……」
「体は応えてる」
 篠塚の指先が触れる感覚にすぐと快感がのぼりつめてしまう。だが、たんなる欲情の捌け口としての行為なら欲しくない。
「篠塚さん、やだ……」
 一方的すぎる。それでも躰は貪欲に篠塚をうけいれ劣情だけが膨れあがっていく。篠塚の名を呼ぼうとして、ふたたび唇を塞がれた。息が苦しい。頭のなかが、じわりと痺(しび)れてきた。意識がとぎれたとたん絶頂がきた。余韻に浸るまもなく篠塚が抱きあげるようにして両脚を抱え込んできた。篠塚がこれからしようとしている行為に瞬は全身を強張らせた。
「いやだ……!」
 瞬が篠塚の名を何度も呼び、そのうち嗚咽(おえつ)を洩らしだした。篠塚がようやく力をゆるめる。瞬は篠塚を押しのけると両腕で頭を抱えこむようにして背をむけた。
「もう、やだ……」
「瞬」
「こんなの、やだ」
「……悪かった」


 沈黙が流れた。
 ようやく気持ちが落ち着いてきた。ちいさく肩で息をつく。すると、篠塚が瞬の名をつぶやき背中に額をおしつけてきた。
「俺はどうしたらいい」
 消え入るような声だった。
「おたがいに言葉が足りない。そう思わないか」
「………」
「このままじゃ何年つきあっても平行線だ。お互いを理解するなんて、とうてい無理だ。おまえだってセックスバディが欲しいわけじゃないだろう。だったら女を抱けばいいんだ」
「僕は……」
「そろそろ心をみせてくれないか。俺は、おまえのことがもっと知りたい」
 瞬が向きなおり仰ぐような目つきでみる。篠塚がふわりと肩を抱いてきた。
「好きなんだ」
 胸が動悸(どうき)を打った。ききなれた言葉であるはずなのに今夜は妙に心の琴線にふれてくる。頬のあたりが火照(ほて)りだした。一体どうしたというのだろう。ひとり歩きしだした情感を持て余してしまう……。
「どうした」
「いえ……」
 瞬が目を伏せると、それまで疑々とした眼差(まなざ)しをむけていた篠塚が咽喉(のど)の奥で笑いだした。


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プロフィール

早瀬 ミサキ

Author:早瀬 ミサキ
わたし、早瀬ミサキのオリジナル小説を紹介しています。ラブシーンは少なく女性も多く登場します。ジャンル上BLを掲げていますが、内容は成人男性のみのメンズラブ(同性愛小説)です。いずれにしても「MEN&MEN」ですので、苦手な方は、ご遠慮下さい。また、記事によりR15指定を含む内容がございます。申し訳ございませんが15歳未満の方の閲覧は、どうかご遠慮ください。

と……ここまで書いておいてナンでございますが、タイトルにございますように、現在、臨時公開場所としてのみの投稿となっております( ̄▽ ̄;)。今後、このブログを他にどのように使用するか検討中でございますこと御了承くださいませ(汗)

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